時差ボケを防ぐ (1) ハワイ往路篇

ダイアモンドヘッド

日本とハワイの時差

日本とハワイとの時差は19時間に及ぶ。日本にいてハワイ現地時間を簡単に計算する方法として、よく紹介されるのが、時計をその時差分19時間遅らせるのではなく、逆に5時間進めて日付を1つ前にするというものである。例えば、日本が朝の8時なら、その19時間前と考えるのではなく、5時間進めて13時、ただし前日という風に考えるのだ。

日付が戻るだけで時差としては5時間と捉えることもできるが、日本 - ハワイ間はフライトスケジュールの関係で時差ボケになりやすい路線の1つである。

また、人間はどちらかというと24時間より長い間隔に対応しやすい傾向があるので、1日が延びる西行きと比べて、1日が短くなる東行きは時差ボケになりやすいという問題もある。
 

基本は高揚感と疲労

そんなハワイ行きで時差ボケを防ぐためのいくつかのコツを以下に紹介するが、結論から先に言うと、究極的には、往きはこれからハワイ旅行だという高揚感で乗り切り、帰りは旅の疲れで誤魔化すことになる。

ただ、下手するとその高揚感と疲労が裏目に出てしまうことがあるので、そうならないための注意点を挙げていこう。
 

日本 - ハワイ間のフライトスケジュール

一般的な時差ボケ対策として目的地の現地時間に合わせて機内で過ごすということがよく言われるが、そのためには一般論ではなく、個別にフライトスケジュールを見ながら対策を考えないといけない。

日本からハワイへの各路線は、基本的に日本を夜出発してハワイに朝から昼にかけて到着、ハワイを昼に出て日本に夕方から夜に到着というパターンである(以下は、JALとDeltaの羽田移管とANAのA380デイリー2便化に合わせて、2020年春のダイヤで記事を更新してある)。

東京発だと、もっとも早く出るユナイテッド便が19時前に出発してホノルルに7時過ぎに到着。もっとも遅いハワイアン便が羽田を日付が変わる直前に出てホノルル到着が12時過ぎ。多くの便が20〜21時台に出て8〜9時台に到着というものだ。例えば、ANAのFlying Honuの1便目は 20:10 - 8:30 というスケジュールであり、これなら早ければ10時過ぎにはホテルに荷物を預けて、初日の午前中から観光できるなど、時間を有効に使うという点では申し分ない。ましてや、A380での運行である。空席さえあるのなら、これ以外の選択肢があるのかという感じだ。
 

往路はなるべく遅い便を

しかし、時差ボケ対策のことだけを考えると、あまり早くにホノルルに到着する便は望ましくない。

例えば、月曜日の夜に出発するとして、到着は月曜の朝、そのまま月曜を19時間延長して43時間にする(=寝ないで過ごす)というのは無理である。そこでどうするかというと、機内で寝て明けた2度目の月曜を5時間短くして対応することになるのだが、ホノルルに到着して降機、入国、ホテルへの移動と続き、その間を寝ているというわけにはいかないので、結局、1度目の月曜から2度目の月曜にかけての睡眠時間を短くすることになる。

しかし、ホノルルの朝8時というのは日本時間の深夜3時ということであり、つまりは、夜中の3時から起き出さないといけないのだ。これは辛い。どんな場所でもたちまちにして寝つけるというのであれば話は別だが、これからハワイだという高揚感で目が冴えてしまうと、下手すれば睡眠時間が数時間ということにもなりかねない。

往きの時差ボケ対策の基本は高揚感だと書いたが、それを発揮すべき場所は機内ではない。極度の睡眠不足となり、15時にホテルにチェックインするや、部屋でぐっすりと昼寝ともなれば、夜中に目が覚めて時差ボケまっしぐらである。

反対に、23:55 - 12:15 というスケジュールのハワイアン最終便なら、到着が日本時間では朝の7時となり、うまくいけば5時間程度の睡眠が取れる。それでも普通は寝不足であろうが、そこはハワイ初日の高揚感で乗り切るのだ。

若くて体力もあるので一晩ぐらい寝なくても大丈夫という人は、早い便を選んで少しでも長く現地滞在を楽しむのも良いであろう。しかし、寝不足による不注意から事故や事件に巻き込まれる可能性もある。日程が許すなら滞在を1日延ばして(現地滞在を長くすることは帰路の時差ボケ対策にもなる)、初日はなるべく遅く到着する便を選んだ方が良い。
 

機内での睡眠時間の確保を

結論としては、往きの時差ボケ対策の要点は2つ、機内での睡眠時間の確保と、到着後は夜まで寝ないことだ。

リラックスできる締めつけの少ない衣服やスリッパなど、機内でゆったりと過ごすために準備できることは多いが、少しでも早く寝付くためにもっとも大切なことは機内食を断ることだ。夕食は空港で先に食べておいて、機内ではミネラルウォーター程度に留めておく。アルコールを飲んだ方が早く眠れるという人は軽く一杯やるのもいい。間違っても、珈琲やお茶、コーラなどでカフェインを摂取しないように。

搭乗前に食事を済ませるという点からも、出発時刻は遅い方がいい。羽田24時発であれば、都心で夕食をとってから空港に向かうことができる。これが成田20時前発ということになると、18時台から晩ご飯となり、却って機内で深夜に小腹が空いてしまうかもしれない。

ものを食べれば血糖値も上がるし消化器官も動き出すので、寝付くのが遅くなるのは必至だ。機内食も旅の楽しみの1つというのは分かるが、そのせいで時差ボケになって現地で楽しめなければ本末転倒だし、冷静になって判断すれば、そもそも機内食など絶対に逃せないほどの美味しさなどではない。

メラトニンを服用してさっさと寝てしまうのも手だが、薬品に頼らずとも、出発当日の朝は寝坊しない、機内食は諦めるというこの2点だけでもずいぶんと違う。間違っても、うどんですかいなど頼んではいけない。
 

ハワイ到着後は

ハワイに朝早くに着く便だと、日本時間の深夜に該当するということもあって、朝食がスナックだけということもある。ハワイの時間に合わせて起きるためには、朝食として食べるものを機内に持ち込んでおくのも1つの手だ。

到着後はあまり激しいアクティビティは避けた方がよい。寝不足で危険だというのもあるが、夜まで起きていないといけないので、体力はなるべく温存する方向が望ましい。

ホテルにチェックイン後も昼寝してはいけない。寝不足と長時間フライトによる疲れもあるから、ほんの1時間のつもりでいても、本当にそれで起きられるという保証はない。荷物を解いたら、すぐに出かけるのだ。常夏のハワイで空調の効いた部屋にベッドやソファがあり、寝不足の疲れた体ときている。部屋に留まれば留まるほど昼寝の誘惑は強くなる。

日中は程々にアクティブに過ごして、夕食は少し早めてもいい、日本人ならではの湯船につかってのリラックス後に早めに就寝すれば、おそらくは翌朝までぐっすりと寝ることができて、目が覚めたときにはハワイ時間に適応できていることであろう。念のため、目覚ましをかけておくのは忘れないように。

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