FLY ONステータスを2021年まで延長
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う移動制限とその要請のため、旅行も出張もままならい、それどころか、今後の予定さえ立てられない日々が続いている。航空会社でも大幅な運休・減便に追い込まれており、すでに入っている予約に関しても、次から次へと払い戻しの対象となりつつある。
お得意様とも言えるJMB会員に対して、JALはこれまでマイルやeJALポイントの実質的な有効期限延長、来年のステータスに関わるFLY ONポイントを七月搭乗分まで2倍付与など、いくつかの施策を顧客確保のために取って来たが、ここにきてとうとうステータスの期間延長に踏み切った。
2019年中の搭乗実績に基づく2020年度(〜2021年3月)のFLY ONステータス、つまり、エリート会員資格を、2021年度(〜2022年3月)にも延長して適用するというものである。これで今年ステータスを持っている会員は、来年度、最低でも同じステータスが保証されたことになる。
筆者の場合、ダイヤモンドなので関係ないが、JGCプレミア以下のステータス保有者が、今年の搭乗実績で今よりも上のステータスに到達した場合は、もちろんのこと新しい上位ステータスが付与される。
さすがに、ダイヤモンド会員の特典である6万eJALポイントなどが選べるサービスセレクションなどは付与されないかもしれないが、国際線機内Wi-Fiのプロモーションコードは有効期間を延長して欲しい。
ステイタス延長措置の意味するかもしれないこと
上級会員に対するステータスの延長というのは、海外の航空会社の多くがすでに発表している施策で目新しさはないが、これまでJALもANAも、搭乗に対してボーナスポイントをつけることで、状況の改善後になんとかたくさん乗ってもらおうという方向性であったから、ある意味では方針転換とも言える。
穿った見方をすれば、1週間後に迫った大型連休にFOP目当てに乗りに来ないでというメッセージとも取れるが、まあ、そういう一部の修行的に飛行機に乗る層は多数派ではない。一般的にはGWが終わると、次は夏休みの旅行の計画などが始まるので、そこにたいする牽制の意味もあるかもしれない。
それよりも重要なことは、FOPの2倍付与の期限である7月まででは、この事態が収束しないであろうという予測に基づいて、今回の施策が考えられているという点である。
航空会社としては、飛行機を飛ばしてお客さんに乗ってもらわないことには商売が成り立たない。もちろん、目先のキャッシュも必要であろうが、来年以降のお得意様を失っては事業の継続性に黄信号が灯ってしまう。極端な言い方をすれば、今年は捨てて来年以降にかけたとも言えるのだ。
一足先にロックダウンに踏み切った国のいくつかではピークアウトしたかもしれないという推測が出てきている。修行僧になじみの深い国では、アジアで最初に国境封鎖をしたマレーシアで、マレーシア航空が国内線からではあるが運航を再開する予定であるというニュースもある。これらを先行きの明るい知らせと捉えることもできなくはないが、そこまでの強硬なロックダウンを伴わないと事態が長期化するということでもある。
結局、今のところ、今年の修行が外的要因により事実上終了させられた我々に今できることはというと、来年の春以降を見据えて、2022年度のステータスを手に入れるべく旅の計画を夢想してみることぐらいであろうか。