燃油代は0に、払戻期間は延長へ

B737-800のエンジン

原油価格は急落

原油価格が急落している。世界的な需要激減のために圧倒的な供給過多になっているのだ。需要が減ったからといって、それに合わせて簡単に石油の生産を減らしたりできるものではない。

ニューヨークの先物市場では、なんとマイナス価格になったといい、20日には終値ではないものの、1バレル当たり−40.32ドルを記録したらしい。マイナス価格というからには、理論上、原油を売る側は1バレル毎に40ドルを支払って、原油を引き取ってもらうということになる。

なにを馬鹿げたことをと思うかもしれないが、生産してしまった石油はその辺に捨ててしまうこともできないので、備蓄できる設備の限界を超えれば、お金を払ってでも引き取ってもらうしかないということらしい。

マイナス価格を記録したのはニューヨークの先物市場だけの話であるが、世界的にも原油価格は下落し続けており、石油製品の価格を押し下げている。身近なところでは、自動車のガソリン価格も下がり始めている。ガソリン価格にはリッター当たり定額の税金がかかっているのと、原価を総平均法で計算しているために、小売価格が急激に下がることはないが、しばらくの間は下がり続けるだろう。

総平均法というのは、簡単に言えば異なる仕入れ値で購入した同一品の原価を均して考えるというもので、例えば、100ドルで300バレル買った分と50ドルで200バレル買った分とがあれば、(100 x 300 + 50 x 200) / 500 = 80 という計算式で、原価80ドルで500バレル仕入れたというふうに計算する。

仕入れ価格が下がっているときは、過去の高い仕入れ値のせいで小売価格が中々下がらないが、その代わり、上昇時でも過去の安かった仕入れ値のおかげで小売価格が急にはね上がらないという面もある。
 

燃油サーチャージもゼロに

さて、我々マイル修行僧(もどき)にとって関心がより強いのは、航空券の燃油サーチャージだろう。こちらは2ヶ月毎にその期間中のみの平均価格に基づいてサーチャージを決めており、つまりは、過去の価格の影響は受けない仕組みなので、よりダイレクトに価格下落の恩恵を受けることができる、もしくは、価格上昇の影響を被ることになる。

アジアの航空会社の場合、シンガポール市場のケロシン価格に基づいて計算しており、先ほどのニューヨーク先物市場のマイナス価格は関係ないのだが、やはり、こちらも大幅に下がっており、JALとANAでは6、7月発券分のサーチャージがゼロになることが相次いで発表された。

4、5月発券分では東南アジア路線が往復で9,000円、ハワイが12,000円、北米や欧州が21,000円であったのから比較すると、大幅な減少ということになる。燃油サーチャージは出発日ではなく発券日ベースで決まるので、予定が決まっているのなら、6月になったら付加運賃ゼロのうちに購入してしまうのがお得である。
 

払い戻し対象期間も延長へ

そう、予定が決まっていればの話である。今の状況下では、先の予定を立てることは半年先のことであっても難しく、6月、7月になって状況が大きく改善している、もしくは、改善の兆しがはっきりと見えているならばという、希望的観測の話でしかない。

実際、JALでは国内線航空券の特別取扱いの対象となる期間が、これまでは5月6日搭乗分までであったのが、17日搭乗分まで10日間延長された。さらに、18日以降の取扱いは未定であるとされている。国際線はもとより5月いっぱいの搭乗分が特別取扱いの対象とされている。

これは言い換えるなら、緊急事態宣言が当初のターゲットとしていた5月6日が明けても、事態が改善していない可能性が高い、少なくとも、航空需要が復活するような状況にはなっていないという予想である。

まだ、しばらくのあいだは、#Dream Now, Travel Later ということである。まあ、しかし、実行に移せるかどうかはともかくとして、燃油サーチャージがゼロになった状態での色々な行き先の運賃を出してみて、FOP単価を計算して楽しむというのも、ひとつの Dream Now のあり方ではある。

 

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