成田空港に行ったついでに
スカイライナー車内で沖縄行きファーストクラスの予約も済ませ、第1ターミナルでマレーシア航空のA380の離陸も見届けた。本来の所用まではまだ時間があるので、後もう一つだけ、成田空港で以前からやってみたいことというか、訪れてみたい場所があったので、ついでに訪ねてみることにした。成田空港駅である。
と言っても、第1ターミナルの地下にある今の成田空港駅ではない。それなら今朝スカイライナーで降りたったばかりだ。最近は第2ターミナル利用の方が多いが、スカイチームをよく利用していた頃は年に数回は使っていた駅だ。
今回はそちらではなく、開港当時の京成電鉄の成田空港駅の方である。
初代成田空港駅
成田空港駅の歴史は京成電鉄にとって、無策としか言いようのない国の方針に翻弄された歴史であった。最初から今の第1ターミナルの地下に駅用地は確保されていたにもかかわらず、そこは作れもしない成田新幹線の駅にするからと、京成の乗り入れが拒まれたのだ。
京成はやむを得ず、ターミナルから1キロほど離れた場所に成田空港駅を開設。利用客はそこからバスに乗り換えることとなった。この不便な乗り換えのために、スカイライナーの利用は低迷してしまったらしい。
そのせいで成田空港へはリムジンバスで行くのが一般的となったが、今よりもはるかに酷かった首都高の渋滞のせいで、こちらは全く時間が読めず、結果として、成田空港は遠くて不便という評価を確立させてしまったのである。
その後、成田新幹線などという愚策が沿線住民の反対などで放棄されて、京成とJRの両方が乗り入れるようになった新幹線用の駅が、現在の空港第2ビル駅と成田空港駅。東京駅側はJR京葉線のホームになっている。また、途中の新幹線用に真っ直ぐに確保された線路用地は、スカイアクセス線としてスカイライナーの高速化に役立っている。
新しい成田空港駅の開業と同時に、初代成田空港駅は東成田駅と改名の上、現在でも空港職員などに利用されている。
東成田駅の行き方
さて、東成田駅への行き方であるが、もちろん、手っ取り早いのは京成に乗ってゆくことで、京成成田から芝山千代田行きに乗って一駅目である。成田空港内の連絡バスでも行ける。
しかし、第2ターミナルから地下連絡通路で歩いても行けるというので、空港内連絡バスで第2ターミナルに移動、地下に降りて京成の券売所のあたりで問題の連絡通路を探すも、入り口らしきものは見当たらない。空港の職員さんに聞くと、もっと奥の方だという。電車を降りた人から見ると手前ということになり、京成の改札を出てすぐの辺り、昔の検問所よりも手前にあるらしい。
今となっては隔世の感もあるが、以前は成田空港駅に着くと検問があって、荷物の開封検査が行われていたし、車で空港に入るときにはトランクを開ける検査があった。
今ではその検問も廃止されたとはいえ、それでも監視している空港職員や警察官はいて、なんだか逆行しづらい雰囲気の扉を改札方面に向かうと、見張りの警察官が立っている正にその横に入り口があった。
10分ほど歩いてよやうくたどり着いた旧成田空港駅は、元空港駅だけのことはある広々とした空間の半分が閉ざされていて、見捨てられた駅のうら寂しさのみを感じさせるものであった。当時、成田空港駅はスカイライナー用のホームと一般特急用のホームとに分かれており、前者が今はまるごと閉鎖されているのだ。時折、そのスカイライナー用ホームに入って見学のできるイベントも行われているらしい。
思えば、私がまだ学生だった頃、初めて成田空港に来たときはこの駅を利用しているのだ。しかも、行きは上野まで見送りに来てくれた友人がスカイライナーの特急券を買ってくれたのを覚えているので、今は閉ざされているホームにも降り立っているはずである。
その後は何度か車で送迎してもらい、次に京成で成田空港に来たときには、もう第2ターミナルができていたので、現行の駅に変わった後であるから、今にしてみれば、たった一度だけの旧成田空港駅の利用であった。