50回乗るか、50000FOP飛ぶか (2)

飛行機

具体的にどのような修行をするのか

50回の搭乗でJCGの資格を得ようとするとどうなるのか。回数を稼ぐためには、具体的にはどのような方法が効率的なのか。そもそも、商用で頻繁に飛行機を利用することのない人が、いかにして年間50回も搭乗するのか。

もちろん金と時間が許すなら北海道でも沖縄でもハワイでも、どこにでも好きなところに25回旅行すればいいのだが(まあ、そんなことをすれば、50回乗る前に5万FOPを達成できるであろうが)、現実には、なるべく距離が短くて安く乗れる路線を1日で何往復かするという荒行となる。

1日に何往復もするのは、貴重な休日を修行のためだけに潰してしまわないよう、まとめて回数を稼ぐためであるらしいが、これが独り身で休みを自由に使ってよいのであれば、分散させて1日当たりの搭乗回数を減らすこともできる。もっとも、空港までの交通費などを考えれば、まとめて修行した方が安上がりではある。
 

福岡 - 宮崎をひたすら往復する荒行

回数修行の場合、具体的には福岡 - 宮崎線や沖縄の離島航路などがメジャーで、例えば、2018年の春ダイヤでいけば、朝7:10に福岡を出て、夜の21:45に福岡(!)に到着するまで、1日で4往復、8回搭乗できるのである。福岡在住でなければ、前後に宿泊が必要となるが、これに福岡空港までの往復2回も追加されるので、このような修行をたったの5回行うだけなのだ。

実際にこの荒行に挑んだ方たちの報告記は、感心するやら呆れるやら、実に楽しいものである。とりわけ、時間を無駄にしないために目的地に到着後、すぐに折り返しの便に乗ろうとすると、機材やキャビンアテンダントが変わらないので、先ほどお別れしたばかりの客室乗務員に出迎えられるという、この上もなく恥ずかしい思いをすることになる。挑戦者の誰もが口にするこの事態には同情の念を禁じ得ない。

あくまでも机上の空論として述べるなら、羽田 - 伊丹線でも1日に4往復できる。機材が大きく乗客の数も何倍にもなるので、まあ、気恥ずかしさは軽減されるかもしれない。やったことはないし、やるつもりもないので、実際のところ、どうなのかまでは分からない。
 

OKA-SINタッチという修行

一方で、50,000FOPをためようという場合の有名な修行方法は、OKA-SINタッチと呼ばれている。OKAとSINはそれぞれ、那覇とシンガポールの空港コード、タッチとは正にその名の通り、シンガポールにタッチするだけで観光も何もせずにとんぼ返りするという意味である。

那覇 - 東京(羽田・成田) - シンガポール - 東京 - 那覇という経路のチケットを手配すると、単純に東京からシンガポールまでの航空券に加えて、那覇と東京の往復が一万円程度の追加で購入でき、なおかつマイル、ひいてはFOPの積算率も高くなるという、コストパフォーマンスにも獲得効率にも優れたプランである。さらに、全体の日程をできる限り短くするため(居住地と那覇の間の移動が前後に加わることになる)、シンガポールでの滞在時間をできるだけ短くする、なんなら空港から出ないというものである。

体力的には相当きついものになるが、OKA - SINタッチはすべて機中泊とすることも可能で、これも2018年春からのダイヤで見ると、羽田を朝7:55に出て那覇に向かった後、シンガポールのチャンギ空港にたった1時間半だけ滞在し、翌日の16:45には羽田に戻ってこれるのだ。週末だけで完結させることができて、もちろん、帰りも那覇に寄っている。

予約クラスによって獲得できるFOPは大きく異なってくるのだが、例えば、国際線部分で100%積算のプレミアムエコノミーを利用し、最初と最後の羽田 - 那覇往復は安い先得系の運賃で購入したとすると、18,424FOP獲得できるので、たったの3回シンガポールに行くだけで上がりである。
 

正真正銘のタッチは非現実的

シンガポールで乗ってきた飛行機でそのままとんぼ返りする正真正銘のSINタッチだと、宿泊費が要らないので修行費用も安く上がりそうな気もするが、実はそう簡単な話ではない。最低旅程日数という問題があるのだ。

Economy Saverなどの安い航空券に設定された最低旅程日数の制約は、JALの場合たいてい3日のことが多く、正真正銘のタッチだけだと2日で帰ってくることになるため正規エコノミー航空券となり、うまくいけば6万円程度のところが、40万超えになってしまうのだ。

そこまで縛りのきつくないプレミアムエコノミーでも、3日あれば12万円程度のものが、2日だと25万円に跳ね上がる。予算よりも日数の方が重要という場合は、エコノミーではなくプレエコの方が安上がりであるが、たいていの場合バーゲン運賃が設定されているプレエコに、倍の金額を払うことになるのは馬鹿馬鹿しい。

というわけで、ほとんどの場合、シンガポールに一泊して帰ってくることになる。3日というのは現地に3日滞在しないといけないわけではなく、日本出発日、中1日、そして、帰国便の出発日という数え方でよいので、現地1時から2時頃に出る夜行便で帰ってくれば、シンガポールには一泊ということになるのだ。
 

せっかく行くならシンガポール観光は?

もちろん、せっかく一泊するのだからシンガポール観光をというのは至極当然の発想であるが、世の中には実に恐るべき方々がいるもので、いわゆるダブルホルダー、JALとANAの両方で修行をしようという人の曰く、もう何回もシンガポール行ってるから今さら見るところもないのだそうだ。

げに恐ろしきは修行僧である。

まあ、そのようなある種の殿上人のことは置いておくとして、JALのフライトスケジュールだと、土曜の日中に沖縄から成田経由で飛んでシンガポール着が日付が変わる頃、その夜はシンガポールに宿泊して、月曜になってすぐ、深夜の2時頃にシンガポールを出て羽田に朝10時頃着というのが最短プランであろう。この場合、日曜をまるごとシンガポール観光に充てることができる。
 

楽しく快適にFOPをためましょう

マイル修行の厳しさについて見てきたわけだが、ただただ出張時などに楽をしたいというだけの私にとって、ハードな修行を積むというのは本末転倒。いかに楽しくステータスを獲得するかが問題となる。したがって、回数勝負はあり得ない、というか、やれと言われても無理。

ちょうど、JCGを目指そうと思い立ったときに、JALとマレーシア航空でビジネスクラスのセールをやっていたので、それらを最大限利用して、どのみち乗らないといけない出張時のチケットを手配して計画を立てることにした。通常、東南アジアへの出張はプレミアムエコノミーの利用が認められているので、そこに自分でいくらか追加してビジネスクラスにしようという魂胆だ。もちろん、差額自己負担でのアップグレードや、勝手にダウングレードして差額を得ることも認められている。会社に黙ってズルをしようというのではない。

5万ポイントの獲得で上級会員を目指す場合、FOP単価という考え方がよく言われていて、これは単純に支払った航空運賃を獲得したFOPで割っただけにもの。つまり、1FOPを稼ぐのにいくらかかったのかというコストである。

ビジネスクラスを利用するとコスト的には優秀というわけにはいかないが、いずれにせよ必要な経費とビジネスクラスとの差額だけを考えるなら、そう悪い話でもなかろうと思っている。具体的な計画はまた別記事にて。

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