マレーシアでiPadを買ってみる

KLCC

東南アジアでショッピング三昧

海外、特に物価の安い東南アジアに行くと、何かお買い得なものはないかと色々とショッピング三昧になってしまう人も多いだろう。そもそも買い物目的で東南アジアに行くという人も少なくないだろうし、かく言う筆者もその1人だ。そのために行くというわけではないが、行けば必ず要らない(!)ものまで買いこんでしまう。

ただ、その国で生産しているものならともかく、輸入品を買おうとすると、意外と高関税が設定されていることの多い東南アジア諸国では、日本で買うのとたいして変わらないということもある。もちろん、日本では滅多にセールなどしないブランドでも、東南アジアではたいていセールの対象となっているし、店内の片隅で型落ちを安く処分していることもあるから、ついつい魔が差して衝動買いしてしまうのだが。
 

Apple製品の価格は?

しかし、非常に高いV.A.T.がかけられているヨーロッパを除けば、世界中のほぼどこで買っても大して値段が変わらないのが、iPhoneをはじめとしたApple製品である。その国の購買力や為替変動の影響などで若干の差はあるものの、たいていは似たり寄ったりの価格付けとなっている。

iPadのもっとも廉価なモデル(Wi-Fi 32GB)で価格比較をしてみよう。日本人がよく行きそうな国で比較してみると以下の通り。すべて現地での物品税、付加価値税、消費税など込み。

国名 現地価格 日本円換算(概算)
日本 ¥40,824- ¥40,824-
US(カリフォルニア) $365.26- ¥40,600-
UK £319.00- ¥45,572-
フランス €359.00- ¥46,452-
香港 HK$2,558- ¥36,671-
タイ ฿11,500- ¥39,261-
シンガポール S$498.00- ¥40,582-
オーストラリア A$469.00- ¥38,229-

ご覧の通り、ヨーロッパではおおよそ45,000円、それ以外の国では4万円前後といったところである。オーストラリアが少し安めなのは、私も今回調べてみて初めて知ったのだが、ここのところ対円でオーストラリアドル安になっているのが大きいのであろう。

そんな中で一際安いのが香港である。昔からiPhoneなどは香港で買うのが安いというのは有名な話である。安いといってもおおよそ1割ほどなので、わざわざ買いに行くとなるとペイしなくなるが、購入予定と香港行きが重なるのであれば検討してみる価値はある。iPadが安く買えた分でビジネスクラスにアップグレード…は無理である。

アップル製品の補償は世界共通なので、どこの国で買ったとしても、日本でサポートを受けることができる。追加のApple Care+は提供されていない国もあるらしいので、必要な人は海外での購入後30日以内に日本で追加の補償を購入する手続きを取らないといけない。

なお、ものによって価格差も異なる。香港でApple製品を買えば何で日本より1割安いわけではない。例えば、Mac Proの最高級モデルなら1割安いだけでも数万円差になるかと思いきや、1万円も違わなかったので断念した(つまり、その気で調べてしまったのだ)。
 

マレーシアでのiPadの価格は?

さて、今回の記事の本題であるマレーシアでのiPadの価格であるが、RM1,366-である。日本円にすると3万7千円強。香港ほどではないが、やはり日本よりも1割近く安い。

やはり、購入目的で行く価値はないが、どのみち古いiPad Air(初代)を買い替えようと思っていたところ、今回の出張中に現地で価格を知って、思わず衝動買いしてしまった。購入店はKLCCにある、なぜかケーブル類の品揃えが異常に豊富な電器店。この店に限ったことではないが、店員はたいてい親切で英語も問題なく通じる。

マレーシアで購入したiPad


初回のセットアップ時(もしくは、リセットした後に)言語設定などを選べるので、どの国で購入しようが最初からなんの問題もない。今回、購入時に店員さんが動作確認をできるよう、店頭では英語でセットアップしたので、そのまま使用しているが、設定から簡単に日本語に切り替えることができる。

国内で買うのと唯一違う点は、充電用アダプターのコネクターの形状である。USB充電器の部分は世界共通で、先端のコネクターだけは販売国の標準的な形状のものが同梱されている。上の画像でL字型の部品が万国共通のUSB充電器である。

コネクターの部分はマレーシアなら写真のようなBF型になる。他にiPadを充電するアダプターを所有していない場合は困ってしまうが、逆に私はこれのおかげで、クアラルンプール市内のカフェなどで充電することができて助かった。
 

日本はApple製品が安い?

Apple製品は香港で買うのが安いというのは有名な話で、iPhoneの新機種が出るたびに香港で買ってきたという話題を見かける。その一方で、日本は香港、アメリカ本国に次いでiPhoneが安いというネットの記事も数多い。つまり、香港で買うのがいちばん安いという点では意見が一致しているが、アメリカや日本も安い方だということになる。果たして、本当に日本は安いのか。

iPadの価格ではあるが、上の比較表を見れば分かるとおり、日本で買っても安くはない。アメリカも同様。それでは、アメリカと日本は安いという話はどこから来ているのか。実は、iPhoneに関しては確かに日本は安い。特に現行のiPhoneXや8は香港、アメリカとほぼ同じ価格である。

iPhoneXの64GBモデルで比べると、タイ、シンガポール、オーストラリアより7千円から1万6千円ほど安い。iPadの安かったマレーシアのほうが5千円高い。世界的に見てずば抜けて高い日本国内のiPhoneシェアを守るための戦略的な価格付けなのであろうか。iPhone以外の製品は必ずしも日本が安いとは限らない、いや、香港でさえ安いとは限らないのである。

なお、Appleのオンラインストアで価格を確かめる場合は、税金に気をつけないといけない。日本は税抜き価格での表示が認められている。一時、総額表示が義務づけられたが、なぜか逆行するように、税抜き表示も認められるようになった。したがって、日本のAppleオンラインストアは税抜き表示されており、最後の最後で税込み価格が表示される。

これは州・市・郡によって税率の異なるアメリカも同様で、注文確定前に郵便番号を入れると税込み価格が出る仕組みになっている。上のiPad価格表では州税が高めのカリフォルニアの中でも比較的ローカル税の高い場所で計算している。

それ以外の多くの国では税込みの総額表示なので、オンライン上で日本との価格比較をするのであれば、消費税込みの金額にするのを忘れないように。


マレーシアでiPadが安かった理由

さて、マレーシアでiPadが安い理由だが、おそらくは6月1日から物品・サービス税GSTが廃止されたことも関係していると思われる。それまでは6%のGSTが、この価格にプラスされていたのであろう。そうすると3万9千円台と他の国と似たようなレベルになる。

9月からマレーシアでは売上・サービス税SSTが導入される予定だ。これが電子機器などの最終的な販売価格にどれほど反映されるのかは不明だが、同じままというわけにはいくまい。したがって、マレーシアでiPadが格段に安いのは期間限定なのかもしれない。

こういった電波を利用する電子機器を海外で購入して日本国内で利用する場合、1つだけ気をつけないといけないことがある。それは技適マークがついているかどうかだ。最近の法改正で、技適マークは物理的に刻印されていなくても、画面上に電子的に表示されるだけでもいいことになった。したがって、購入前に実際に設定画面などから認証マークを表示させて確認しておくことが望ましい。

たとえ、技適マークのないWi-Fi機器を国内で利用していたとしても、そんなことを調べようもないので、現実問題として罰せられる可能性は極めて低いが、違法行為であるという事実は揺るがない。その点、iPadは技適マークがついているので安心して国内でも使える。iOSの場合、「設定」→「一般」→「認証」と進んでゆくと確認できるので、海外の購入前にはチェックを忘れないように。

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