可能性としてのトライアングル修行
JAL国内線で離島絡みを除く長距離路線として、福岡 - 新千歳線がある。区間マイルが882であり、那覇、宮古、石垣それぞれの発着便を除けば、国内最長距離路線である。
そこで考えられるのが、朝に羽田を出て三角に回って夜には戻ってくる、1日完結のトライアングル修行である。修行として考える場合、問題となってくるのは、福岡 - 新千歳の便数が少ないこと、羽田 - 福岡と羽田 - 新千歳のFOP単価の悪さであろう。
福岡 - 新千歳間はどちらからも11時台と14時台発の1日2便である。羽田から福岡と新千歳は早朝から夜遅くまで便数が多いので、日程を組むのに苦労することはない。今年2019年の夏ダイヤだと、例えば、羽田を8:30に出て、新千歳、福岡の順に回って、16時半に帰って来れる。
ただ、上記スケジュールの場合、羽田 - 新千歳と福岡 - 羽田が先得で買ったとしても割安ではない。そこで、早朝に羽田を出て、午後便で福岡か新千歳に移動してから、最終便で羽田に戻ってくるというプランにすれば、それぞれ5時間程度の時間ができるので、観光とまではいかずとも、美味しいものを食べたり、空港でゆっくりと過ごすことができよう。
福岡か新千歳の内、最初に行く方の滞在時間を短くして、両都市間の移動を午前便にしても、もう一方では8時間程度しか滞在時間が取れない。フライトスケジュールの関係で、5と5で10時間というわけにはいかない。
羽田からと羽田までのフライトを早朝と最終便にすることで、FOP単価も先得で15円以下にできそうである。そして、福岡 - 新千歳線に関しては、なぜか福岡午後発便が圧倒的に安い。というわけで、羽田 - 福岡 - 新千歳 - 羽田という順番で、現時点で6月の状況を確認したところ、単価11円以下に収まった。
実際に飛んでみた、ただし、3日間かけて
そこで、福岡と札幌に行く用事があった際に、別々に羽田から往復しないで、日程を調整して三角に飛んでみた。といっても、本当に日帰りで回ってきたのではなく、福岡と札幌でそれぞれ一泊ずつして、3日間かけてである。
まずは当日アップグレードのために早朝の羽田空港へ向かう。到着したのは5時過ぎ、まだカウンターも開いていない。たまたま車で羽田に行く知り合いがいたので便乗させてもらったが、自分1人で行く場合は3日間も車を空港駐車場に止めておく訳にはいかないので、必然的に日帰り修行ということになる(3日分の駐車料金として支払う分を航空運賃に回せば、好きな時間帯の便が買えるはず)。
無事にファーストクラスへのアップグレードに成功し、ラウンジに向かったが、朝早すぎてなにも食べる気になれず、コーヒーを飲む程度にしておいたが、それで胃が動き出したのか、機内食の朝食が五臓六腑にしみわたった、というのは少し大袈裟だろうか。
福岡は市内まで出る
始発便に乗れば福岡には8時過ぎに到着する。新千歳行きが出るまで6時間あるので、福岡は市内と空港が近いこともあって、市中に出るのがよいだろう。
今回、実際には福岡で一泊しているのだが、もし日帰り日程だった場合、筆者ならこうするというプランを挙げておこう。
まず、天神の周辺は朝早くから開いているカフェが限られているので、天神ではなく博多に向かう。博多なら駅構内、周辺、地下街に朝からオープンしている店に事欠かない。ここでお茶でも飲みながら時間を潰す。もし、ファーストクラスに当日アップグレードできなかった場合は朝食ということになるだろう。10時頃には多くの店が開くので、そのまま博多駅周辺をブラブラしてもいいし、余り時間的な余裕はないが、天神に移動してもいい。
昼食は市内でとるなら少し早めに。時間がないときの筆者のお気に入りは、西鉄福岡(天神)駅の2階にある博多うどんのお店だ。天神の駅ビル内なので場所はよいが改札外なので電車に乗らずとも利用できるし、安くて美味しいのでよく利用する。
博多駅から動かない場合は、駅構内にある博多デイトス2階に「博多めん街道」というラーメン、うどん、博多チャンポンのお店が集まっている一角があり、安くて早くてお薦めである。
空港でラウンジを楽しみたい場合は、昼を食べ終えたら移動である。福岡は天神にしても博多にしても、地下鉄で空港まで直結だから、こういう時間にゆとりがないときでも便利である。
福岡から新千歳へ
新千歳行きは福岡空港を14:20に出発する(2019年夏ダイヤ)。フライト時間は2時間15分と国内線にしては少し長めであるが、使用機材はB737と小型機である。大型機にするほどの需要はないのであろうが、乗った便はほぼ満席であった。
今回は購入した運賃が特便割で最初からクラスJを指定しておいたが、ウルトラ先得などで購入して当日アップグレードを目指す場合、座席数の少なさからアップグレードできない可能性もある。1日で全てを終わらせる修行の場合は、朝、羽田で全便の当日アップグレードを頼んだ方がいいだろう。キャンセル待ちは出発空港でないとできないが、当日アップグレードはその日の分ならどこの空港でもできる。
さて、円弧を描く日本列島の端から端へと飛ぶイメージのある福岡 - 新千歳線、勝手な思い込みで日本海上空をひたすら飛び続けるのだろうと思っていたが、意外と陸地の上を飛んでいた。機内Wi-Fiのポータルページにあるフライトマップで確認した限りでは、島根県辺りで日本海に出て、能登半島をかすめ、秋田辺りから東北地方を横切って太平洋に出ていた。
新千歳につくのは夕方の4時半過ぎで、季節にもよっては日没後ということもある。
新千歳から羽田へ
新千歳に着くのは夕方の4時半過ぎ、羽田行きの最終便までは5時間以上あるが、札幌まで行ってしまうと実質滞在時間は3時間程度。まあ、お目当ての店があってそこで晩ご飯を食べるだけで帰ってくるというのも1つの手だ。
それ以外の案としては、千歳に出る(ただし、なにもない)、空港で時間を潰すといったところだろう。レンタカーを借りて短時間のドライブというのも考えられるが、すぐに日が暮れてしまう。筆者なら空港内に留まり、空港内にある温泉に入ったりしてゆっくりと過ごすだろう。実際には、ここでも札幌に出て一泊しており、空港に長時間滞在した訳ではないが、この空港温泉には一度行ってみたいと思っている。
新千歳空港内の飲食店に関しては、フードコートからラーメン屋、さらには寿司屋まで、もはや、紹介しきれないほどあるが、パソコンやスマホを充電できるお店としては、国内線ターミナルビル4Fにあるプロントが穴場的に空いていて、筆者も以前はよく利用していた(今は、さっさとラウンジに行ってしまうが)。
さて、新千歳 - 羽田の最終便であるが、これもB737なのでクラスJの席数が少ないから、当日アップグレードを目指す場合は羽田で頼んでおくのがいいと思うが、20時少し前の時点ではまだ空きがあった。筆者の場合、実際には1本前のB767で運行されている便にしたので、ファーストクラスにアップグレードできた。
- 羽田 - 福岡 : 1,418FOP (ファーストクラス)
- 福岡 - 新千歳 : 1,900FOP (クラスJ)
- 新千歳 - 羽田 : 1,276FOP (ファーストクラス)
合計で4,594FOP。ファーストクラスへのアップグレードが原因で単価は少し悪くなり、11.5円@FOP程度である。最初に書いたとおり、すべて先得で取れば10円台に収めることができる。
各区間のフライト時間はいちばん長い福岡 - 新千歳間で2時間半、残りは2時間を切っているので、長すぎて退屈することもないし、合計で6時間とはいえ、3回に分かれているので腰が痛くなることもないので、悪くはない行程と言えるかもしれない。
しかし、全区間を先得の普通席にすると獲得できるFOPは2,940で、那覇往復の2,952とほぼ同じである。FOP単価を考慮に入れる場合、羽田を夕方に出て、那覇から最終便で帰ってくれば、単価はたいていの場合7円台にできるので(運がよければ6円台もありうる)、11円というのはまったく比べものにならない数字である。
まあ、ひたすら単価を追求し続けて飽きて目先を変えたいときなどに、どうであろうか。